電気回路の解き方 ~ 閉路解析法 ~

閉路解析法

今回は久しぶりに電気回路の投稿になります。電気回路初学者に向けて、おすすめの電気回路の解き方を紹介していきたいと思います。

シンプルな閉回路を解く際、どのように回路の電流・電圧を計算しますか?
一般的な考えとしては、オームの法則を適用して方程式など解かずに求めていくはずです。

では、複雑な回路(複数の閉回路)を解く際は、どのように回路の電流・電圧を計算しますか?
これに関しては、初学者だと立ち止まってしまいがちです。

もちろん、LTSpiceなどの解析ソフトが主流となりつつある今日において、複雑な回路解析はシミュレーションで見ればいいや!くらいに思ってしまうかもしれませんが、自力で解けるようになった方が理解は深まるものです。

そこで、複数の閉回路から回路を解く方法として、閉回路解析法をご紹介します!

閉路解析法とは

回路シミュレーションが回路を解析する際、「閉路解析」と「修正節点解析」という計算を行っています。今回は閉回路解析のみ紹介します。
主にキルヒホッフの第一法則、第二法則を用いた計算手法となっており、以下の特徴を持っています。

  • 任意回路において、同様のアプローチで解析が可能

余談になりますが、私はこの手法をよく使用しています。過去に私の通っていた大学で、岐阜大学の関根先生(定年退職されたようです)が出張授業をしてくださり、そこで初めてこの閉路解析法を学びました。学ぶ前は、無理やり合成インピーダンスを算出して計算していたのですが、閉路解析を用いることで方程式を立式→求めたい変数を解くという流れで解けるため、回路によらず同じアプローチで解けることに感動したことを覚えています。

閉回路解析の解析ステップ

この記事では、以下の回路について、電源に流れる電流(i1)を算出することをゴールとします。
前提として、キルヒホッフの第一法則と、第二法則は理解しているものとして進めます(今度キルヒホッフの法則について補足予定)

3つの閉回路を有する電気回路

では、この回路について、解いていきましょう。
閉回路が3つありますので、左上を閉回路①、右上を閉回路②、下を閉回路③と呼ぶことにします。
まずは、①についてキルヒホッフの第二法則を適用します。

\begin{equation}
V=R_{1}i_{1}+j \omega L_{1}(i_{1}-i_{2})+R_{2}(i_{1}-i_{3})
\end{equation}

②、③についても同様に方程式を立式していきます。

\begin{equation}
0=j \omega L_{1}(i_{2}-i_{1})+\frac{1}{j \omega C_{1}}i_{2}
\end{equation}

\begin{equation}
0=R_{2}(i_{3}-i_{1})+j \omega L_{2}i_{3}+R_{3} i_{3}
\end{equation}

②の式を$i_{2}$について解くと、

\begin{equation}
i_{2}=\frac{j \omega L_{1}}{j \omega L_{1}+\frac{1}{j \omega C_{1}}}i_{1}
\end{equation}

③の式を$i_{3}$について解くと、

\begin{equation}
i_{3}=\frac{R_{2}}{R_{2}+R_{3}+j \omega L_{1}}i_{1}
\end{equation}

$i_{2}$, $i_{3}$を①の式に代入することで、電源に流れる電流$i_{1}$を算出できます。

\begin{equation}
i_{1}=\frac{V}{R_{1}+R_{2}+j \omega L_{1}+\frac{\omega^2 L_{1}L_{2}}{j \omega L_{1}+\frac{1}{j \omega C_{1}}}-\frac{R_{2}^2}{R_{2}+R_{3}+j \omega L_{1}}}
\end{equation}

答えは複雑になってしまいましたが、このように任意てんの電流を求めることができました。

まとめ

今回は、電気回路の閉路解析について説明しました。電気回路初学者の人たちにはぜひとも一度使っていただきたい計算手法なので、試してみてください。

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shota_py
メーカー勤務のエンジニアです。 自分の趣味である、「電気回路」、「ガジェット」「株式投資」、「Python」に関する記事をつらつらと書いています