【電磁気】ベクトル場の 発散

今回はベクトル場の 発散 について説明していきます。
発散は、スカラー場の勾配と同様に、電磁気学の基礎を学ぶ上で非常に大事な内容になりますので確実に押さえるようにしましょう。また、発散の意味をしっかりと理解できれば、ガウスの発散定理の理解もしやすいです。

発散 とは?

まず、 発散 はベクトル場に対して処理を行うものになります。
発散とは、「単位体積における面積分」を意味します。これが非常に大事な意味合いになります

そのため、まずはベクトル場の面積分について理解していきましょう

ベクトル場の面積分とは

では面積分を考えていきましょう。下図のように曲面における微小面積を考えていきます。
ここで、微小曲面の中心に着目し、中心の位置ベクトルを$\mathbf r =(x,y,z)$とします。

その時に、微小曲面を貫く電界ベクトル$\mathbf E$は位置ベクトルの関数を用いて$\mathbf E(\mathbf r)$と表せます。微小曲面を貫く正味の電界成分は、微小曲面に垂直な成分です。垂直な成分を抜き出すために、法線ベクトル$\mathbf n(\mathbf r)$を導入します。

すると、微小空間を貫く正味の電界成分は、電界ベクトルと法線ベクトルの内積をとることで求められます

$(微小曲面を貫く正味の電界成分)=\mathbf E(\mathbf r) \cdot \mathbf n(\mathbf r)$

では曲面全体を貫く正味の電界成分の総和はどうやって計算すれば良いでしょうか。
総和といえば、積分をすればいいとイメージできれば上出来です。
曲面全体を貫く電界成分の総和は下式で算出できます

\begin{equation}
\int \mathbf E(\mathbf r) \cdot \mathbf n(\mathbf r) dS
\end{equation}

ベクトル場の湧き出し

ではいよいよベクトル場の湧出しについて考えていきます。湧出し量の考え方は、「場の前後で比較する」ことです。

例えば、一方向について下図の状況を考えます。青矢印がベクトル場で、大きさがベクトル場の絶対値に相当するとします。ある領域におけるベクトル場の湧出しとは、領域境界面のベクトル場の差分を取ることでわかります。下図の場合、左側の境界面におけるベクトル場より、右側の境界面におけるベクトル場の方が絶対値が大きいため、領域内でベクトル場の湧出しが生じているということがわかります。電界で考えた場合、領域内で電荷が存在しているようなものです。

湧出しに関するイメージは掴めたかと思いますので、ここから定量的な説明に入ります。
下図のように3次元の直交座標系において、微小立方体を考えます。x方向についての湧出しを考えるため、緑色で塗りつぶした面に注目します。緑色の面に対してベクトル場の面積分を考えていきます。今、左側の面における電界ベクトルを$\mathbf E(x,y,z)=(E_{x}(x,y,x),E_{y}(x,y,z),E_{z}(x,y,z))$とします。すると、右側の面における電界ベクトルは$\mathbf E(x+dx,y,z)=(E_{x}(x+dx,y,x),E_{y}(x+dx,y,z),E_{z}(x+dx,y,z))$となります。緑色の面に対する法線ベクトルは、$\mathbf n(x,y,z)=\mathbf n(x+dx,y,z)=(1,0,0)$となり、各面の面積分は

左側の面
\begin{equation}
\begin{split}
\int \mathbf E(x,y,z) \cdot \mathbf n(x,y,z) dS\\
=E_{x}(x,y,x)dydz
\end{split}
\end{equation}

右側の面
\begin{equation}
\begin{split}
\int \mathbf E(x+dx,y,z) \cdot \mathbf n(x+dx,y,z) dS\\
=E_{x}(x+dx,y,x)dydz
\end{split}
\end{equation}

x方向の湧出しは、右側の面の面積分から左側の面の面積分の差分を取ればいいので、


\begin{equation}
\begin{split}
(x方向の湧出し)&=E_{x}(x+dx,y,z)dydz-E_{x}(x,y,z)dydz\\
&=\frac{E_{x}(x+dx,y,z)-E_{x}(x,y,z)}{dx}dxdydz\\
&=\frac{\partial{E_{x}}}{\partial{x}}dxdydz
\end{split}
\end{equation}

y方向は、上記と同様に計算すると

\begin{equation}
\begin{split}
(y方向の湧出し)&=E_{y}(x,y+dy,z)dxdz-E_{y}(x,y,z)dxdz\\
&=\frac{E_{y}(x,y+dy,z)-E_{y}(x,y,z)}{dy}dxdydz\\
&=\frac{\partial{E_{y}}}{\partial{y}}dxdydz
\end{split}
\end{equation}

z方向も同様に計算すると

\begin{equation}
\begin{split}
(z方向の湧出し)&=E_{z}(x,y,z+dz)dxdy-E_{z}(x,y,z)dxdy\\
&=\frac{E_{z}(x,y,z+dz)-E_{z}(x,y,z)}{dz}dxdydz\\
&=\frac{\partial{E_{z}}}{\partial{z}}dxdydz
\end{split}
\end{equation}

さて、これで微小立方体に関して全方向の湧出しが算出できました。x,y,z方向の湧出しは、上記式の湧出しを足し算すればいいので微小立方体における湧出しは下式のようになります。

\begin{equation}
\begin{split}
(微小立方体の湧出し)&=\left (\frac{\partial{E_{x}}}{\partial{x}}+\frac{\partial{E_{y}}}{\partial{y}}+\frac{\partial{E_{z}}}{\partial{z}}\right) dxdydz\\
&=\left( \frac{\partial{E_{x}}}{\partial{x}}+\frac{\partial{E_{y}}}{\partial{y}}+\frac{\partial{E_{z}}}{\partial{z}}\right) \Delta{V}
\end{split}
\end{equation}

発散の定義は、「単位体積あたりのベクトル場湧出し」です。ここで、単位体積$\Delta{V}$以外の項に着目して、式変形をします。

\begin{equation}
\begin{split}
\left (\frac{\partial{E_{x}}}{\partial{x}}+\frac{\partial{E_{y}}}{\partial{y}}+\frac{\partial{E_{z}}}{\partial{z}}\right)&=\left( \begin{matrix} \frac{\partial{}}{\partial{x}} \\ \frac{\partial{}}{\partial{y}} \\ \frac{\partial{}}{\partial{z}}\end{matrix} \\ \right) \cdot \left( \begin{matrix} E_{x} \\ E_{y} \\ E_{z} \end{matrix} \right) \\
&= \nabla \cdot \left( \begin{matrix} E_{x} \\ E_{y} \\E_{z} \\ \end{matrix} \right)
\end{split}
\end{equation}

勾配の勉強をした際に出てきた$\nabla$が現れてきましたね。上式を見ると、$\nabla$と電界ベクトルとの内積を取れば発散が求まることがわかります。


まとめると、ベクトル場の発散とは、「単位体積あたりの湧出し量」を意味し、微分演算子$\nabla$とベクトル場の内積に、体積をかけわせることで求まる物理量になります。

まとめ

今回は電磁気の基礎となる「発散」をテーマに記事を書きました。
暗記することでその場のテストを乗り切ることはもちろんできますが、せっかく学ぶなら本質を理解した方がいいと思います。次回は「回転」をテーマに記事を書こうと思います。

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shota_py
メーカー勤務のエンジニアです。 自分の趣味である、「電気回路」、「ガジェット」「株式投資」、「Python」に関する記事をつらつらと書いています