【世界初】 全固体電池 搭載のポータブル電源発売!

今回は 全固体電池 を搭載したポーダブル電源を紹介します。
全固体電池といえば、電気自動車で今後注目されている要素技術となっており、トヨタが2027年を目処に量産を予定しているものとなります。
ヨシノジャパンという会社が、民製での量産を世界で初めて実現したとのことです!

まずは、全固体電池について概要を説明して、その後にヨシノジャパンの製品の紹介をしていきます。

この記事を読むと
・全固体電池の概要
・液体電池と全固体電池の比較
・世界初の全固体電池搭載ポータブル電源
の3つが理解できます!

液体電池 ・ 全固体電池 とは?

液体電池とは?

世の中に出回っている、繰返し利用可能な2次電池は全て電解質が液体です。
リチウムイオン電池を例に概略図を下図に示します。図のように2次電池の構成は、正・負電極と、電解質、セパレータから構成されます。リチウムイオンは電解質中に存在し、セパレータは正極と負極がショートしないよう、中間の位置に配置されます。このセパレータは、イオン物質を通す化学物質で構成されているため、リチウムイオンは自由に出入り可能です。

充電時は、正極側に正の電圧を供給します。すると、電極内の電子は、正極→負極へ移動していき、負極にて、リチウムイオンと電子が結合し、電子を拘束します。すなわち、充電とは、負極に電子を溜め込むことを意味します。

充電された状態で、電極間に負荷を与えると、放電という現象が起こります。
電圧バイアスにより負極に拘束された電子は、負荷を通して正極に移動します。つまり、正極から負極に向かって電流が流れます。

全個体電池 とは?

全固体電池とは、電解質が個体の電池を指します。いくつか種類がありますが、代表的なものを下図に示します。構成は液体電池と似ていますが、セパレータがありません。これは、固体のため電極間ショートの恐れがないためです。

メリット・デメリット

液体電池から固体電池に切り替えることでどんなメリットがあるのでしょうか?
また、現段階で普及していないことから、ハードルが高いことが考えられますが、何がネックとなるのでしょうか?

全固体電池のメリット

  1. 発火リスクの抑制
    液体電池の多くは、有機溶媒系の電解液を使用していますが、これは可燃性になります。ネットニュースなどでモバイルバッテリーやPCの発火事件が取り上げられていますが、これは電解液が要因となるケースが大半です。固体の電解質は、可燃性ではないため、発火リスクが抑制され、安全性が向上します。
  2. 劣化しにくい
    液体電池では、リチウムイオンだけでなく、他の化学物質も移動可能なため、意図しない副次的な化学反応がおこり、性能が劣化してしまいます。一方で、全個体電池では、リチウムイオンのみが移動するため、副次的な化学反応が起こらず、劣化しにくくなります。
  3. 急速充電が可能
    これが一番大きな恩恵になります。充電速度は供給電圧が高いほど速くなります。液体電池よりも固体電池の方が耐電圧性が高く、より高い電圧供給が可能となるため充電速度が速くなります。

課題・デメリット

  1. 電解質の抵抗が高い
    電解質が固体のため、液体に比べると抵抗が高くなってしまいます。
    抵抗値を下げる研究を進めている最中です。
  2. 有毒ガス発生リスクがある
    硫化系の化学反応を使用するため、有毒ガスが発生する懸念点があります

今後の展望

今後の市場規模を富士経済グループが調査していました。(引用画像添付)

<引用> Fuji Keizai Group リンク

2025年から徐々に普及していき、2035年ごろには3兆円規模のビジネスとなるようです。
指数関数のように伸びていきますね。青天井のビジネスではなさそうですが。。。

このような背景の中、全固体電池のポータブル電源が2023年10月に発表されました。
おそらく予想よりも早く市場に登場してきました!

【世界初】ヨシノ製全固体電池

ヨシノパワージャパン株式会社という会社が全固体電池のポータブル電源を2023年11月頃から楽天発売する予定です。なお、一見日本の会社に見えますが、本社はアメリカのようで、日本法人がヨシノパワージャパンだそうです。

販売リンクページはコチラ

ポータブル電源で有名なEcoFlowとスペック比較したものが下記になります。
なお、同じ容量のものがなかったため、ヨシノパワージャパンは2611Wh, EcoFlowは2048Whのもので比較しています(EcoFlowに比べて容量は27%多いです)

サイズについて、体積で比較すると、B3300 SSTはDELTA2 Maxと比較して8%小さいです。
27%容量が大きいのに体積は8%小さくなっているんですね。他社に比べてコンパクトになったといえそうです。
続いて、重量です。一般的にはバッテリー容量は重さに比例するかと思いますが、B3300 SSTはDELTA2 Maxと比較して8%重たいですが、バッテリー容量は前述した通り27%多いので同じバッテリー容量で比較すると軽量化できていることがわかります。
最後に金額についてです。B3300 SSTはなんと、、、DELTA2 Maxの約2倍します!!!
(なお、充電時間については前提条件が両者で大きく異なるため、この表には載せていません)
これは最新技術を使用している点からしょうがないですが、これだけ価格差があると、多少性能面で見劣りするEcoFlowでもいいやって思う方が多くなりそうですね。

ただ、全固体電池はこれからの電池市場を代表する技術となっていきますので、今後量産が進んでいき、コストダウンが進んでいくことを願いましょう。


ヨシノパワージャパンEcoFlow
型番B3300 SSTDELTA2 Max
容量[Wh]26112048
サイズ(縦×横×高)[mm]543 × 260 × 240497 × 242 × 305
重量[kg]2523
金額 [円]499900254100

まとめ

今回は全固体電池の仕組みと、初めて市場に登場した全固体電池のバッテリーについて紹介しました。今後の電池市場の主役となる全固体電池のことを少しは理解していただけたでしょうか?
今後も気になる技術があれば随時記事にしていこうと思います!

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メーカー勤務のエンジニアです。 自分の趣味である、「電気回路」、「ガジェット」「株式投資」、「Python」に関する記事をつらつらと書いています