エリオット波動入門②

エリオット波動入門②

期間がかなり空いてしまいましたが、今回はエリオット波動論①の続きになります。エリオット波動論は株式投資におけるダウ理論に匹敵するとても重要な理論になりますので、まだ深く知らない方などはぜひ確認してみてください。まずは①の復習から始めていきましょう!

前回の復習

前回は、波動がどのように形成されていくか解説をしました。以下にリンクを貼りましたので、よろしければ確認してみてください。

エリオット波動入門①


ざっと前回の復習をします。株式投資で使用するチャートにおける最も基本的な構成として、上昇相場は5つの波下落相場は3つの波で構成されるのでしたね。
上昇する波を「推進波」、下落する波を「修正波」とまとめて呼びます。ここでやや理解が複雑になりますが、下図に記載した「推進波」の中でも、第1波、第3波、第5波の3つの推進波、第2波、第4波の2つの修正波が存在します。「修正波」も同様に、第A波、第C波の2つの推進波、第B波の1つの修正波が存在します。

株価のミクロ(細かい)な構成はこのサイクルからできているというのがエリオット波動論のベースとなっていましたが、あくまでトレンドが継続している場合に限ります。株価の推移にはトレンドがある場合・ない場合の二つに大別でき、上昇→水平→下落、上昇→下落などのように必ずトレンドが転換する点が存在します。すでにお分かりのことかと思いますが、現実はシンプルなものではなく、複雑な波形となることがほとんどなので、上図のような綺麗なトレンドフォロー型の波形にはなりません。

エリオットは上図が成り立たない状態である、トレンド転換時の波形について代表的なものを分類しています。
今回は、それら特殊なパターンの代表例を紹介します。

トランケーション

トランケーションとは日本語で、「切頭」を意味しており、下図のように第5波が第3波を超えられない状態を指し、相場が転換する点を示します。


このようなトランケーションと呼ばれる波形は第3波が強力な時に発生しやすいです。
群集心理として、第3波で大きな上昇又は下落があったとすると、第5波はさらに強気になるのではと予想します。しかし、機関投資家や大口投資家などは第3波で売り抜けており、出来高を保った上昇が困難となり、推進波・修正波の形が崩壊し、相場が転換するというものです。

ロバート・R・プレクター・ジュニア、A・J・フロスト(2009)
エリオット波動入門 パンローリング株式会社

ダイアゴナルトライアングル(ウェッジ)

メジャートレンドの方向を向いているただ一つの5波構成のパターンです。メジャートレンドとはマクロ(広い)の視点で株価を見たときにどの方向に動いているかを示します。(大極的な相場の流れ)

この波の特徴としては、時間が経過するほど値幅が狭まり、三角形のような形になることです。
3角形の形になることで、転換する位置があらかじめ分かることがこの波の特徴になります。

エンディング・ダイアゴナルトライアングル

第5波に起こる特殊なパターンの波で、2本のラインが収束するような楔形をしています。
この波が発生すると、上昇・下落のタイミングが掴みやすくなります。

下図のように、推進波・修正波の各端部から線を2本引き、その線が交差する付近において相場が変動することを示します。また、第1波と第4波の価格帯が重複する特徴を持ちます。

ロバート・R・プレクター・ジュニア、A・J・フロスト(2009)
エリオット波動入門 パンローリング株式会社
リーディング・ダイアゴナルトライアングル

衝撃波の第1波で出現する波で、エンディング・ダイアゴナルトライアングルと似た波形となります。最も大きな違いは、相場の継続を示すことです。エンディング・ダイアゴナルトライアングルは相場の転換を示すものとなりますが、第1波などに出てくるトライアングルは強気の相場になりつつあることを示します。

ロバート・R・プレクター・ジュニア、A・J・フロスト(2009)
エリオット波動入門 パンローリング株式会社

フラット

衝撃波の第4波(修正波)でよく現れる波形で、ミクロな視点で見た副次波が3-3-5の構成となる特徴があります。
また、A波の段階で大きな下落がなく、C波の終端がA波の終端付近で終了するジグザク波形です。

波の数をカウントしていけば良いのですが、今回紹介した波形の中で一番区別がつきにくいものとなります。

ロバート・R・プレクター・ジュニア、A・J・フロスト(2009)
エリオット波動入門 パンローリング株式会社

水平トライアングル

こちらも修正波で良く見られる波形です。トライアングルの中でも様々な種類がありますが、代表的な対称型のみ取り上げます。トライアングルパターンは、5波構成において、3-3-3-3-3に細分化されます。各波形の端部を繋ぐことにより上側、下側にトレンドラインを引くことによってトライアングルが形成され、三角形の右側頂点で収束点を迎え、トレンドが継続するような一時的な修正波形として観測されます。なお、収束するタイミングが最後の5波目に相当します。

売りと買いが拮抗している状態を反映しているため、通常では出来高が減少し、ボラティリティ(値幅)が小さい横ばいの動きになります。

ロバート・R・プレクター・ジュニア、A・J・フロスト(2009)
エリオット波動入門 パンローリング株式会社

まとめ

今回はエリオット波動における特殊なパターンの波形について説明していきました。これらの波形が観測されたときにどのように動くのかが予想できるため、実際トレードにも役立つ知識がたくさんあります。ぜひご活用してください!

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メーカー勤務のエンジニアです。 自分の趣味である、「電気回路」、「ガジェット」「株式投資」、「Python」に関する記事をつらつらと書いています